ふくろう通信 睡眠の謎に迫る① なぜ睡眠は必要か
- 偉大な音楽家のお話
ふくろう通信
2014年6月
睡眠の謎に迫る① なぜ睡眠は必要か
最近、睡眠時無呼吸症候群が話題になることが多く、実際そのような患者さんが多く診断されるようになりました。
この疾患について考えてみても、睡眠がいかに重要かがわかります。
また不眠症の悩みの方も多いですね。睡眠薬にも重要な問題があります。
睡眠は意外と知られていないことも多く、そもそも何故睡眠が必要なのか、それについても明確にはわかっていないのです。
そこで今回は睡眠の謎に迫る、というタイトルを掲げて、そのシリーズの一番目、睡眠はなぜ必要かについて書きます。
■寝ないとどうなるか
人生80年とすると、その1/3の約27年間は寝て過ごすことになります。はっきり言って長いですね。
もし寝る必要がなかったら、人間生活も随分と異なったものになったでしょう。
その時間で活動やその他もろもろに充てることができ、寝ない人が断然優位に立つと思われます。
でもどうしても人は、そして動物は寝る必要があります。
それでは寝ないとどうなるか?結論からいうと、ラットの断眠実験では疲労が蓄積し免疫低下による感染症、それに伴う多臓器不全でみんな死んでしまいます。
人についての記録では1964年のランディの11日間不眠への挑戦の詳細な記録があります。
断眠2日目で怒りっぽくなり、集中力が低下、4日目に妄想出現、強い疲労感、7日目は言語障害、震え、その他諸々の障害がおこるものの、11日目で眠りにつくと15時間眠りそして23時間覚醒、その後完全に回復したそうです。
このことからも睡眠がいかに重要なのかがわかります。
■睡眠不足は
それでは睡眠不足はどうか、皆さん徹夜の朝は本調子でないことはお気づきですね。
まず圧倒的に注意不足になります。また過酷な警察の取り調べで、容疑者の睡眠不足が加わっていれば、冤罪を生む土壌になります。
判断力低下でどんなことでも話すことにもなりかねません。
また最近の研究結果によると、睡眠不足はアルツハイマー病の原因のアミロイドβが、脳内海馬に蓄積することが示唆されているほか、メタボリック症候群、心血管疾患や代謝異常のリスク増加に関連していることが指摘されています。
睡眠時無呼吸症候群の方は夜間睡眠の質が悪く、昼間眠たくなり、社会生活で問題を生じます。
人間やはり十分に質のいい睡眠をとらないとダメなようなのです。
■睡眠がどういう役割をもっているのか
ナポレオンは「3時間は勤勉、4時間はふつう、5時間は怠慢」と語ったとか、これでは大半の人間が怠慢ですね。
しかしアインシュタインは1日10時間以上の睡眠が必要でした。睡眠時間は人様々です。
シェークスピアの「マクベス」の中に「睡眠こそ、この世の最高の滋養である」という言葉通り、睡眠最中に心身にプラスとなることが何かが起こっていることを見事に表現しています。
それは何か。睡眠で記憶が定着するのです。
記憶には様々なタイプがありますが、そのどれも睡眠によって強化されます。
次回述べますが睡眠にはレム睡眠とノンレム睡眠があります。
レム睡眠期に夢をみて、この時に記憶、学習に重要な役割を果たしているようです。
近年ではノンレム睡眠が記憶の強化に重要なこともわかってきました。
次回はその夢について書く予定です。