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ふくろう通信 失われた2020年

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2020年5月 第248号

失われた2020年

古関裕而の東京オリンピックマーチ、ベートーベン生誕250周年のことなど

2020年、今年は希望に満ちた年になるはずでした。しかし年明けからゴーンさんの逃走劇や、アメリカによるイランの将軍、ソレイマニ氏の殺害などで変調をきたしていました。そしてすぐその後からコロナ騒動が始まり、今に至る過程は皆さんのご存じの通りです。今年は2度目の東京オリンピックがあるはずでしたが、これは延期。その他様々なイベントが軒並み中止か延期に追い込まれました。今年はベートーベン生誕250周年の年でもあり、それにちなんだ多くの記念の演奏会、催しものがあるはずでしたが、これも多くは中止でしょう。私ども長崎交響楽団創立50周年の記念演奏会も中止。経済活動も落ち込んでおり、なんとも残念な年となりました。

【古関裕而さんのこと】

1964年10月10日東オリンピックの開会式を見ていました。私は小学4年生でした。入場行進の時の「東京オリンピックマーチ」に耳を奪われました。何と素晴らしい曲。沸き立つような希望に満ち溢れた、まさに名曲です。当院のスタッフから作曲した古関裕而さんは、朝のNHK連続テレビドラマ「エール」の主人公であることを教えてもらい、以降毎日欠かさず見ています。

裕而と金子    

彼の曲は数知れずあり、戦前、戦中、戦後すべては国民のために、心を込めて作曲した曲ばかりです。舞踊組曲竹取物語」をイギリスの作曲コンクールに応募し入賞、1930年(昭和5年)1月23日の福島民報新聞で大々的に報道されて、この入賞の報道を読んだ内山金子(きんこ)が古関にファンレターを送り、熱烈な文通を経て1930年6月、古関20歳、金子18歳で結婚。古関は大変な愛妻家で、ずっと最後までおしどり夫婦でした。 多くの交響曲やピアノ協奏曲、交響詩、弦楽四重奏曲など、膨大な作品群を完成させていましたが、それらの楽譜の多くは現在行方不明で、残念なことに「竹取物語」の所在も知れません。わが長崎への鎮魂歌「長崎の鐘」、夏の高校野球大会歌の「栄冠は君に輝く」、大ヒットしたドラマの主題歌「君の名は」、そして「高原列車は行く」などの格調高い名曲を数多く作曲しました。延期された東京オリンピックでは、ぜひ彼のオリンピックマーチを聴いてみたいですね。

【ベートーベン生誕250周年】

生誕250年にちなんで、彼の知られざる病歴をお話ししましょう。愛飲していたのはワインとコーヒー、大好きでした。難聴は1801年の30歳ころからみられ、耳鳴りが絶えず、次第に聞こえなくなりました。それを隠し通そうと必死で、友人の医者達の勧める様々な治療や、補聴器などを試しましたが、結局無効で悪化。交響曲第9番(1824年)を作曲時、完全に聴力を失いました。聴覚以外にも、慢性的な頭痛や腹痛、下痢、リウマチなども患っていました。1826年秋、ベートーベンは肺炎に罹患した後、大好きだったワインの飲みすぎで肝臓病が悪化し、腹水が貯留。その後どんどん衰弱し1827年3月26日の午後、56歳で昇天しました。葬儀の当日は学校も休校となり、その参列者の数は、なんと2万人に上ったといわれています。ベートーベンは同時代に生きた人々にとっても、最も尊敬する偉大な音楽家であり、当時その死がどれほど大きな出来事だったかが、伝わってきます。

【長崎交響楽団創立50周年】

実に残念なことに記念演奏会開催は中止になりました。練習していたマーラーの交響曲「巨人」は来年に延期となりました。その時はぜひご来場いただきたく存じます。

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