ふくろう通信 ふくしま そして くまもと
- ふくろう通信
ふくろう通信
2016年5月
ふくしま そして くまもと
熊本、大分で発生した大地震により被害を受けられた皆様に謹んでお見舞い申し上げます。
皆様の安全と一日も早く復旧されますことを、当院スタッフ一同、心よりお祈りいたします。
2011年の東北大震災から5年、今度は九州のへそともいうべき、中央に位置する熊本に、自然は猛威を振るいました。
私にとって熊本は、幼いころから、とても親しんできたところです。
今回の出来事は本当に心から残念でなりません。
私ども夫婦は、今年の5月はじめに福島を訪れました。
初めての地でした。
私たちが旅行で知り合った友人が、ぜひ福島へいらっしゃい、という招待を受けてのことでした。
彼は大玉村という桃源郷のような田舎に一人で住んでいらっしゃいます。
もう高齢なのに何でも自分でなされます。
家、といっても一つしか部屋がない、質素かつ堅牢なログハウスです。
家の周りには数多くの種類の花が咲き乱れ、ウド、こごみ、コシアブラ、タラの芽などの山菜が沢山ありました。
ちょっと信じがたいような所です。
本人はこの先、仙人にでもなりたい、と冗談ともつかぬ本音を話されていました。
また是非、是非訪れたいところでした。
この家はご無事でしたが、5年前の大震災では、彼は本当に死ぬかと思ったそうです。
私たちは福島でいろいろな方とお会いしましたが、南相馬市に在住の方の話によると、報道ではなかなかされない現地の実態を痛感されたそうです。
おかみの線引きで、ちょっとした距離の差が、援助の対象になる、ならぬの悲劇を生んだりしていました。
長崎の原爆被害とのアナロジーを感じます。
親は放射線の問題があっても、この先長くないし、この地にずっと住んでいたいと思っていますが、子供たちはさっさと離れたい、というわけで、世代の断絶、別れがあります。
ペットや飼育していた動物たちとの哀しい別れもあります。
私は犬好きなのでその気持ちが痛いほどよくわかります。
そしてまだまだ多くの仮設住宅があることも見聞しました。
そのほかにもいろいろ聞かされると、本当に私たちには頭では知ることができても、心の底から理解できていないような問題が、数知れずあることを痛感しました。
原発被害は本当にむごいことを人間に与えました。
会津磐梯山周辺にも行きましたが、ここは明治21年、7月15日の水蒸気爆発により小磐梯が山体崩壊を起こし、発生した爆風と岩屑なだれにより、11の集落が埋没するなどの被害を及ぼし、477人の死者を出したことが史実で残っています。
山の高さは600メートルも低くなり、真ん中がなくなり、30億トンの土砂が崩れ落ちたという凄まじいものでした。
火山博物館にも訪れましたが、日本が世界でも最も火山の多い所であることを再認識しました。
国土は世界のわずか0.25%しかない所なのに、日本には全国で火山が108山あり、世界の火山の、なんと7%も占めています。まさに最大の地震国である由縁です。
私は今年2月に熊本城フルマラソンを走りました。
生まれて初めて歩くことなく完走し、いい成績だったと思います。熊本城は化粧直しされ、周辺も美しく本当にいい所だなと心底思いました。
また沿道の声援も今までで一番多く感じられ、熱気にあふれる暖かいものでした。
その熊本城が…
絶句です。
いつも通る阿蘇の大橋もなくなりました。
そして多くの人の死、建物の被害、続く続震(余震ではないのかもしれません)。
福島や熊本のことを考えるといつ、どこでどのような災害に見舞われるかは、本当に分からないと心から思います。
長崎市医師会から義捐金募集のお願いがあります。ご協力いただける方はよろしくお願いいたします。
当院もできる限り協力してまいります。