ふくろう通信 自分で治す
- ふくろう通信
2009年11月
自分で治す
2年前の夏、Hさん(当時47歳、男性)は私の診療所に来られました。
何日も前から空咳が続いて治らない、困っている、ということでした。
最近増えている咳喘息ではないかと考え、気管支拡張剤を投与してみました。
また血液の検査もしたところ、ダニ、ハウスダストに対してアレルギーが判明、その後しばらく来られず、治られたのかと思っていたところ、2ヵ月後に再度来られ、咳はとても良くなったが、今度はのどが渇く、ということです。
やや肥満気味でもあり、血糖を測ってみたところ、220mgとかなり高い数字。
糖尿病とわかりました。そしてその病気とのつき合いが始まりました。
運動と食事療法の勧め:
患者さんにはまず、薬に頼るのではなく、運動と食事療法を薦めました。
というのもまだ軽症で、私の意見を注意深く聞かれ、誠実そうな感じから、もしかしたらうまくいくのではないかと、思ったからです。まさに予想通り、私の想像以上の成果をあげました。以下がその結果です。
検査結果の推移:
もう皆さんご存知のように、糖尿病の状態を知るのに、血糖値だけではなく、HbA1cという値が重要です。
この値は過去1,2ヶ月の平均血糖値を反映し、血糖コントロールの良否を判定するのにきわめて有用です。
優は5.8%未満、良は5.8~6.5%未満、それ以上ではコントロールは良好とはいえません。これを念頭において、この方の検査結果の推移を見られてください。
* 2007.10.23 12. 29 2008.3.29 2009.9.14
体重 65kg 60kg 56kg 57kg
HbA1c 7.5% 6.5% 5.7% 5.3%
血糖値 208 mg/dl 125 mg/dl 101 mg/dl 94 mg/dl
考察:
最近9月に久しぶり来院されましたので、検査を実施すると、体重は一時急速に減少したころに比べれば横ばいですが、1年前より糖尿病の数値に関してはさらに良くなっています。
お話をよく聞いてみると、私の話した運動、食事療法について2年間きっちりとやられていたのです。
運動に関しては、コナミスポーツに通い、しかもインストラクターについて規則的にされていたとのこと。
また食事に関しては私が、食事のカロリーが詳しく載っている食品交換表という食事関係の本をよく読むように勧めたところ、その通りにして奥さんの協力の下にしっかりとした食事療法もされていたということです。
私はとても感心して、この一文を書いているわけです。
人には医者の立場上、運動、食事療法そして禁煙など、身体にいいことを勧めるのですが、継続することがいかに難しいかは私も、そして皆さんもご存知の通りです。
考えてみると病気というのは自分が作り出しているものが大半なのです。
やれ遺伝だ、感染のためだ、といいますが、自己管理が十分な人はあまり病気しません。皆様も今の自分の生活習慣をよくよく考え、人生の質と深さを大切にして生きてください。
それが予防医学につながり、医者知らずとなると思います。私たちは少し困りますが。
長崎交響楽団第74回定期演奏会
2009.12.13(日)14時開演 長崎ブリックホール 入場料2000円(当院あり)
ラフマニノフ:ピアノ協奏曲第2番、ブラームス:交響曲第1番
指揮:森口真司、ピアノ:ピーター・クルピタ(長崎のアーティストシリーズ)