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ふくろう通信 2025年問題と超高齢化社会を迎える日本

  • 2018年

2018年2月 第221号

高齢者の定義が現在の65歳から75歳に変更されようとしています。日本老年学会と日本老年医学会の提言によるものです。この分でいくと現在63歳の私が高齢者になるのは少し先になることになり、喜ばしいかぎり?ですが、まだ高齢でない私たちはもう少し働け、ということなのでしょうか。考えてみると最近のお年寄りは以前と比べずいぶんと若々しく、変更もありだなとは思います。日本人の平均寿命は江戸時代の30歳台が、最近は80歳台となり高齢化社会となりました。団塊の世代が75歳となるのが2025年で、日本は超高齢化社会を迎えます。2025年には、総人口に占める65歳以上の人口の割合は30%を超え、75歳以上の後期高齢者の人口の割合は18%を超えるため、約5人に1人が75歳以上の後期高齢者という時代が到来します。これが2025年問題と呼ばれるものです。さてどんな問題があるのか見ていきましょう。

医療問題

政府は高齢化で増え続ける医療費を削減するため、2025年には、病床を約120万床まで減らすことを目標にしています。病床を減らし、手厚い医療を必要としない30~34万人を自宅や介護施設での治療に切り替える方針です。認知症患者も増える中、現場の医療従事者は、高齢者が暮らす自宅の劣悪な環境を問題視しています。政府の現場の医師や看護師、介護職員まかせの方針は、想定通りにうまくいくのかははなはだ疑問です。また皆保険制度維持のために考えられるのは、保険料増、窓口自己負担額増、および増税(消費税)ですが、これらは国民の負担感が増し、難しい問題です。国民負担増なしで皆保険制度を維持させるとしたら、医療給付費を抑えるしかなく、医療給付費抑制は医療機関経営を圧迫します。2025年問題は医療機関の倒産増加という側面もあります。

認知症患者の増加、10人に1人が認知症

日本の認知症高齢者の人数は、現在約500万人、2025年には700万人に達し、65歳以上の高齢者の約5人に1人が認知症に達すると見込まれています。また軽度の認知症を含めた人数は1200万人を超える計算になり、2025年の総人口が1億2000万人とすると、日本人の10人に1人は認知症の高齢者であるという時代になります。介護を担うであろう現役世代の人数も減っていく中、認知症高齢者の増加は2025年問題として大きいものとなります。

老老介護が当たり前に

超高齢化社会となった日本において、高齢者が高齢者を介護する老老介護も、珍しいものではなく、私の患者さんにもおられます。認知症高齢者が同居する認知症高齢者の介護を行う認認介護も、老老介護と同様に近年増えてきています。すでに在宅介護者の半数以上が老老介護を行っているのが日本の現状であり、2025年にはさらに高齢者が増えることになるため、一段と老老介護は問題化していくでしょう。

独居老人の増加で孤独死も増加

65歳以上の一人暮らしをしている高齢者の増加は、男女ともに顕著です。1980年には男性が約19万人、女性が約69万人、2010年には男性が約139万人、女性が約341万人と著しく増加しており、2025年にはさらに一人暮らしをしている高齢者が増加するでしょう。一人暮らしの高齢者が劇的に増えると、孤独死が急増することも注意しなければならなくなります。私の周りでもぼちぼちそのような状況が見えてきました。

2025年には年金制度が崩壊している可能性も

2025年というのは、今まさに行われている、60歳から65歳への年金支給開始年齢引き上げが最終段階にさしかかっている頃です。おそらく、年金の実質的破綻は誰の目にも明らかになっているでしょうから、70歳への支給開始年齢引き上げも実行に移されるはずというのが、ある社会保険労務士の方の見解です。年金をはじめとする社会保障費は、現在の約120兆円から、2025年には総額150兆円に増えると考えられます。そのうち年金は50兆円から60兆円に増加します。遅くとも2030年代前半には、年金積立金は枯渇するという話も聞こえています。消費税1%分の税収は約2兆円、向こう10年で今より15%消費税率を引き上げないと、年金制度は維持できないという試算もあります。多くの国民が不安に思いつつ、半ば諦めムードになりかけている今の公的年金制度ですが、それがいよいよ、「ムード」から「リアル」になっていくときが来るのでしょう。

安価な外国人労働者が増加と治安の悪化

日本の人口が減少し、現役世代の労働力を確保することが難しくなるなら、経営者が外国人労働者を増やしていくことは必然です。2016年10月時点の外国人労働者の人数は、108万3769人となり、1年前と比べて19.4%も増加し、外国人労働者の人数は4年連続で増加していて、過去最多の人数を更新した状況です実際にはこれをはるかに上回る外国人が働いているといわれていて、今後も企業の人手不足を、外国人労働者の労働力で補っていく構図が予想できます。

外国人労働者の増加に伴い、治安が悪化しています。来日外国人犯罪の総検挙人員の推移で2012年は9149人だったが、2014年には1万689人と1万人を超えて緩やかに上昇していて、今後も外国人犯罪の総検挙人員は、長期的に増加する可能性が高いです。安価な賃金、長時間労働、過酷な肉体労働など、こうした労働条件に耐え切れず、犯罪に手を染める者も増えています。つまり、2025年には、外国人労働者の増加に伴い、日本人とのトラブルは増え、さらに外国人犯罪も増加することから、日本の治安の悪化が問題となり得ます。

格差社会、プア・ジャパニーズ層の形成

外国人労働者の増加は、今の労働者を淘汰します。格差社会という言葉では生ぬるい社会状況になっていることが予想されます。日本総貧困層、かつての総中流社会という言葉が郷愁になっているかもしれません。2025年には外国人労働者の人数は160万人を突破する可能性もあり、これは、今後一部の日本人が、安価な賃金で働く外国人と同じ条件で働かなければならなくなる未来がやってくることを暗示しています。2025年には、こうした安価な賃金で働く日本人の労働者がひとつの階層を作ることになり、アメリカの「プア・ホワイト(貧しい白人)」にちなんで、「プア・ジャパニーズ(貧しい日本人)」と呼ばれることになります。

少子化問題

アメリカのように、人口減少を移民政策でくい止めている国もあれば、フランスのように、出生率改善と向き合って対策を講じているいる国もありますが、日本は少子化対策に関しては全くの無策と言っていいほど、何の対策もとられていないのが現実です。少子化は、そのまま生産人口の減少につながり、それは国の税収減として表れ、国の経済発展にも悪影響を及ぼします。つまり2025年問題は「人手不足」と「お金がない(財政危機)」ということなのです。若者が減り高齢者が増えると、働き方が変わると言われています。生産年齢人口が減り、税収が減るイメージはありますが、労働力人口が高齢化することにより、労働の質が変わることが予想されます。厚生労働省のデータによれば、2000~2010年の10年間で、事務職や工業系技術者は14%、農家や漁師は30%、また土木作業者や建設技術者は40%も減っていて、一方で、介護関係職員は倍以上に増加し、葬儀関係者も1.5倍に増えています。この傾向は、2025年までにますます加速すると言われています。

2025年問題のまとめ

2025年問題をご理解いただけたでしょうか。団塊の世代が75歳となる2025年には、高齢者の人数が大幅に増えることで、医療、介護、年金などでさまざまな問題が待ち構えています。これからは資産運用も重要でしょう。今からでもできることを準備し、2025年問題に対して備えあれば憂いなしという状態に持っていくことが、我々がこれからやるべきことでしょう。ただあまりにまわりの声に振り回されることなく、自分の持ち場をコツコツ、まじめにやればよいのではないかと思います。あとはケセラセラです。

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