ふくろう通信 睡眠の謎に迫る③ 睡眠薬、よき睡眠を促すには
- 偉大な音楽家のお話
ふくろう通信
2014年8月
睡眠の謎に迫る③ 睡眠薬、よき睡眠を促すには
年をとるにつれ、なかなか眠れなかったり、睡眠が浅くなり何度も起きたり、様々な問題を抱えるようになります。
またストレスや心配事で眠れなくなることもあります。
酒を睡眠薬代わりにする人もいますが、実は良質な睡眠はとれません。
そこで睡眠薬の登場です。
患者さんの強い希望で、私もつい要求通り、処方することが多いのですが、ここでは睡眠薬の問題について考えてみましょう。
睡眠薬について
以前使われていたバルビツール系睡眠薬は過量に服薬すると、死亡する危険性がありましたが、現在使われている睡眠薬はまずその心配はありません。
しかし依存性はありますし、一過性に記憶がとぶ現象が見られることがあります。
少量から飲み始めて、次第に量が多くなってくると、これらの副作用が顕著になります。
だからできるだけ服用しない、するとしても必要最小限に止めるのがいいのですが、さてどうしたらよいでしょうか。
睡眠薬を使わなくするための知恵
人間には体内時計があり、これをうまく利用すると、睡眠がうまくいきます。
体内時計を整えるには次のことを守るとよいです。
①朝起きたら日光がはいる環境に
②昼寝をするなら20分以内に
③運動習慣を身につける
④カフェインなどの飲み物は就寝4時間前までに
⑤就寝2時間前までには夕食を済ませる
⑤寝るときは部屋の照明は暗く
⑥寝酒は止める
⑦就寝直前のパソコン、テレビはやめる
明るくなると起き、暗くなると眠るといった、生理的で規則正しい生活、運動で体を疲れさせ、夜はぐっすり眠るようにする、寝る前のコーヒーは控える、などの工夫がよいのですね。
体内時計とは
さて体位内時計とは何でしょうか、人の体内時計の中心は脳の視交叉上核にあります。
脳の松果体から出るメラトニンという「睡眠ホルモン」がその体内時計に働きかけ、覚醒と睡眠のバランスをとるのです。
メラトニンの働き
朝の光でメラトニン分泌は停止し、脳にある体内時計がリセットされて、活動状態になりす。
目覚めてから14〜16時間ぐらい経過するとメラトニンは再び分泌され、その作用で眠気を感じます。
メラトニンの不足
メラトニンは光によって調節され、夜中に強い照明ではメラトニンの分泌量が減り、体内時計に休息の時刻が伝わらず、睡眠覚醒リズムが乱れます。
また加齢により、分泌量が右図のように減ります。
朝早く目覚めたり、夜中に何度も目が覚めたり、若い頃より睡眠時間が減るのは、体内時計の調節機能が弱まっているためと考えられています。
メラトニンの働きを助ける薬
タケダの「ロゼレム」という、メラトニン受容体に働く薬があります。
これにより体内時計の働きを強め、睡眠と覚醒のリズムを調節します。
この薬は、今までの睡眠薬と違い、新しい視点で開発された、ユニークでいい薬です。
これで従来の睡眠薬を減らしていくことも可能でしょう。
私はタケダの回し者ではありませんが、この薬の開発者、内川氏の熱のこもった講演を拝聴し、とても感動しましたので、この薬をご紹介しました。