ふくろう通信 新型インフルエンザについて
- ふくろう通信
2009年5月
新型インフルエンザについて
新型インフルエンザが世界的に流行する兆しを見せていますが、世界保健機構(WHO)は4月29日深夜、これまでの警戒レベルをフェーズ4から5(世界的大流行の一歩手前)まで引き上げたと発表しました。
4月末で2500人の感染、94人の死者が確認されています。人から人への持続的感染が確認され、パンデミック(大流行)が迫っていると判断したものです。
また5月1日の新聞報道によりますと、日本人の帰国女性が疑われているようです。まさに危機的状況になってきたと考えられます。今月はこのことについて、今、わかっていることについて書きます。新しい情報が入り次第改訂します。
メキシコで流行しているインフルエンザのタイプはA型のH1N1で現在流行中のソ連型と同じです。
弱毒型といわれるものですが、決して軽い病気をもたらすものでなく、1918年、全世界で4000万人以上の死者を出したスペイン風邪も同じ弱毒型といわれています。
通常のインフルエンザでも年間で見ると世界で25~50万人は死んでいるのです。強毒型は現在まで話題になっていたとり型インフルエンザで、タイプはH5N1、致死率は圧倒的に高く、とりではすべて死亡、人でも60%を超えるとみられています。
- 何故大流行する恐れがあるのか:
今回のインフルエンザはHIN1で現在のソ連型と同じ型ではありますが、例年と違い、変異(病原性の変化)の度合いが極端におおきく、多くの人が免疫をもっていないと考えられ、世界的大流行になる可能性が強いのです。例年の流行は日本で500万人から多くて1000万人、新型の場合、3000万人を超えると予想され、それだけ死者も増えるものと思われます。 - 毒性が高くなる可能性は:
スペイン風邪の場合、最初は症状が比較的軽かったのが、次第に若い人の重症者が多くなったといわれています。感染が広まる間、インフルエンザの遺伝子が変化して症状が強まったと考えられていますが、今回の新型インフルエンザもそうなる可能性があります。また若い人ほど重症化することが十分考えられます。 - タミフル、リレンザは有効か:
耐性(薬が効かない)ウイルスの出現がない限りは、同じインフルエンザウイルスなので、有効ではないかと思われますが、まだもう少し様子を見る必要があります。 - ワクチンはどうなっているのか:
これは行政の対応が重要です。今後その対策が練られるでしょうが、作るまでの時間、それに生産体制の問題があり、今後の課題です。 - 検疫体制は大丈夫か:
水際対策はもちろん重要で、十分やる必要があります。
しかしご存知のように世界は狭くなっており、限度があります。
どのような形で日本に入ってくるかは、わかりません。
当然日本にも流行があると考えての対処が必要です。
また極端な交通の制限や、豚肉禁輸はあまり意味がありません。加熱処理の豚は安全と考えられています。無意味な制限は世界経済に混乱をひき起こすことにもなります。 - 今後について:
まだわからないことが多すぎるため、今後、解明すべきことが多数あります。
インフルエンザに対する私たち個人の対策は今までと変わりありませんが、情報についてはきめ細かにアンテナをめぐらせて、知るように努めましょう。