ふくろう通信

ふくろう通信 明けましておめでとうございます。

2021年1月 第256号

 

明けましておめでとうございます。
永平寺、サムライ、男はつらいよ

 

昨年はコロナにあけ、コロナで終わった1年でしたが、テレビは相変わらずくだらない番組ばかり。見なければいいのでしょうが、ついおかしくて見てしまうことも度々ありますね。そのような中でちょっと印象に残ったテレビ番組を紹介します。それぞれが特に関係のある番組でもなく、またコロナ感染症にも無関係です。しかしこの時代、ちょっと大事なメッセージがあると思いました。

 

永平寺、道元:福井県にある禅の修行道場、永平寺、建立から800年経つ今も、ここで 若き僧侶たち、雲水が厳しい自然の中一年を通して、朝早くから厳格な修行に励む姿が 、NHKBSで年頭に放映されました。その姿には深く感銘しました。その道元の教えは「正法眼蔵」に集約されています。難しい本ですが、以前読んだその解説書さえも難しく感じました。しかし混迷する現代、民族をこえてその教えは各国の人々に影響を与えてきまし た。TV 放映でアメリカやイタリア、ミラノをはじめ、多くの外国の方々がその教えに励む姿には驚嘆しました。「只管打坐」ただひたすらに坐り座禅し何も考えない。そして自我を捨てる。「身心脱落。 全てを捨て去る。今までの自己に執着しない。この座禅を広めました。道元は幼少期に両親を失い、早くし て出家、宇宙の構造や輪廻転生が書かれてある難解な「倶舎論」を9歳で読み解き、内容も理解したそう です。35歳に記した「典座教訓」に「人間は一人一人役割、仕事があり、それを他の人に任せてはならない、どのようなことでも修案と思って過ごすべし」とあります。身にしみる思いがします。

サムライ、三船敏郎昨年末、NHK BSで90分にわたり、「サムライと呼ばれた男の実像」 という題で三船敏郎の特集番組がありました。初めて見る興味深い映像が満載でした。 彼の本当の偉大さがわかりました。 映画「七人の侍」「用心棒」などで豪快なサムライ像をみせ、世界中を魅了した三船敏郎。生誕100年を迎え、秘蔵資料と関係者の証言をもとに「世界のミフネ」の秘密に迫る特筆番組でした。巨匠・黒澤明との戦い、台本に残る緻密 な役作り、メキシコ映画で主役となり、スペイン語を完璧にこなす三船。それに戦争と特攻の記憶。彼は徴 兵され中国の大連で上官から顔が変形するほど厳しくしごかれたそうです。日本に戻り25歳の時、特攻基 地で若い少年兵を送り出す上官になります。特攻機に乗り組んだまま、帰ってこない少年達。その時の実 に悲しい思い。ある戦争映画の中で三船は上官として訓令しました。「君たちは命を大切にせよ、決して死ぬな」の言葉は彼の万感の思いそのものでした。映像で武者小路実篤の書いた名言が、壁にさりげなく掲げてありました。「この道より我を生かす道はなし、この道を行く」

男はつらいよ、渥美清:お盆とお正月の渥美清の寅さん映画、日本人にとって宝物の一つでした。年末に放映された作品中、甥の満男は根源的な問いを、寅さんにぶつけます 。「人間は何のために生きているのか?」問いに困ったふうの寅さんは、「それは人生を 楽しむため、大きくなったら分かるさ」とちょっと頼りない返事。私も簡単には答えられない 、と思いました。そんなおりに私は、東大卒のセラピストでシスターの鈴木秀子さんの「死にゆくものとの対話」を読んでいました。その本の中に一つの答えがあるような気がします 。書いてある個々の体験談全てが、感動的で素晴らしいのですが、ここでは「おわりに」から一部抜粋します。人生は、特別大きな案績を上げるではなく、何をするにしてもそれをしながら成長すること、つまり愛に生きることに価値がある。人それぞれ固有の使命がある。起きることには必ず意味がある。人生に無駄なものはない。私たちは自分の置かれた今の存在、コロナ禍は偶然ではない、その中で頑張ることですね。