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ふくろう通信 ペットの犬たちの悲しい運命

  • 2019年

201912月 第243

ペットの犬たちの悲しい運命

私は生き物が大好きです。幼い頃から我が家にはイヌ、ネコ、ハト、ニワトリ、カナリヤ、ジュウシマツ、池にはコイ、フナ、金魚がいて、カエルが盛大に鳴いていていました。そのカエルを狙ってヘビが時々出没していました。下の家にはブタがいました。オニヤンマが部屋を通り抜け、オオシオカラトンボは池に必ずいて、時々つがいになって、飛んでいました。ホタルも時々家の中に入り込んでいました。幼い私は昆虫図鑑を首っ引きにして虫を知り、シートン動物記、ファーブル昆虫記を面白がって読んでいました。今考えると、なんといい時代だったでしょうか。

私の父方祖父はヤギ、ウサギ、イヌなどを大事に飼っていて動物が大好きでした。父も同じです。その血が私にも当然、受け継がれたものと思います。動物の中でもとりわけイヌが私の友です。雑種の「ヒロとコロ」、シェットランドシープドッグ(シェルティ)の「ルンルン」、ゴールデンリトリーバーの「フォルテ」、キャバリアの「エルガー」、かれらはあの世でくらしており、今一緒にいるのがエルガーと同じ、キャバリアの「フィガロ」です。このうちフォルテとフィガロはそれぞれ佐賀と尾道のブリーダーから直接購入しましたが、この犬たちは、ペットショップから買った犬に比べ、情緒が安定していました。
親や兄弟たちと暮らす時間の長さが影響しているものと思われます。
右写真 フィガロ、孫と一緒に

飼っていたイヌたちのことをもっと書きたいのは山々ですが、私は愛玩動物飼養管理士の資格を持つ人間として、ヒトと動物、特にイヌのあり方について書いてみます。イヌが好きだから、そしてもっと動物のことを知らなければいけないと思い、この資格を取りました。とてもいい勉強になりました。日本にはイヌ、ネコはそれぞれ1,000万匹以上います。最近は空前のネコブームで、数の上では イヌを追い越したようです。それら動物たちの多くは大事に飼われていると思いますが、一部のペット販売者や心ない飼い主たちがいるのも、残念ながら事実です。

太田匡彦著の「犬を殺すのは誰か、ペット流通の闇」を読んで愕然となることが多々ありました。殺処分されるイヌの数にまず驚かされました。殺処分自体も炭酸ガスによるもので、ユーチューブでその様子が出ていますが、決して苦しまない方法とは言えない、残酷なものです。しかしだんだんとその数は減っていき、2007年の84,000匹から2017年度には8,400匹と約十分の一になりました。これはあいつぐ動物愛護管理法の改正も影響しています。

しかし、殺処分の裏に隠れた「流通死」があります。1年間に売買される犬や猫のうち、流通過程で死んでしまう数が2014年には「23,181頭」という膨大な数に達することが明らかになりました。公式には発表されないこうした犬たちの死亡数は、殺処分問題に匹敵するくらい深刻な問題です。犬を物のように売りさばくペットの流通システム自体が、殺処分の裏に隠れた「流通死」の原因になっています。

他の先進諸国と比べて、動物に対する福祉が遅れている日本ですが、イギリスの家畜福祉協議会(FAWC)が提唱した「5つの自由」が参考になります。①飢えと渇きからの自由②肉体的苦痛と不快感からの自由③障害や疾病からの自由④恐れと不安からの自由⑤正常な行動を表現する自由、⑤は動物が正常な行動を表現するための十分な空間・適切な環境が与えられてるかということです。これらは家畜に対するものでしたが、日本においては愛玩動物にさえも、未だそれらが十分考慮されているとは考えにくい現状です。

 

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