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ふくろう通信 誤認逮捕

  • 2019年

2019年2月 第233号

誤認逮捕

冤罪の恐怖 無実にもかかわらず

無実の人物を逮捕してしまう誤認逮捕、少し前のデータですが2010年に起きた件数は343件にものぼります。なにもしていないのに逮捕されてしまっては、たまったものではありません。
当時65歳だった男性が、わいせつ行為をしたとして逮捕、一貫して無罪を主張したものの有罪の判決を受け、結局6年もの間拘留されました。その後被害にあったとされた女が、実は性的被害はなかったと証言、男性は釈放されました。医師もその被害にあうことは稀ではありません。その一つ、福島県立大野病院産科医逮捕事件について概要を述べます。

福島県立大野病院(写真)産科医逮捕事件:事件当日、常勤の産科医はただ一人、産婦は前置胎盤、医師は出産時の危険性を説明し、より設備の整った大学病院での分娩を強く勧めました。それにもかかわらず妊婦側は拒否し、大野病院での出産を希望。医師が場合によっては子宮全摘の可能性もあることを話すと、3人目も欲しいので強く子宮温存を希望しました。胎盤に癒着がみられ、大変難しい手術となりましたが、ただ一人で全力をあげて、意に沿うよう最善を尽くしました。しかし残念なことに出血多量で妊婦は死亡されました。この件に関し医師は院長に報告、医療準則に違反することはなく、異常死には当てはまらないとして、警察への24時間以内の届出は行いませんでした。しかし県は事故調査委員会を設置、医師に過失がありとし、これにより福島県警は当医師を業務上過失致死、医師法違反で逮捕、裁判となり検察は禁固一年、罰金10万円を求刑しました。マスメディアも大きく医療ミスとして取り上げました。あろうことか、この逮捕が福島県警察本部賞を受賞したのです。この件に対し、各医療団体や医師側から、医療ミスとはとても考えられないことでの逮捕、そして警察署への受賞とは、とても納得がいかないと抗議、大きな運動を起こしました。またほとんどの日本の医師は、私も含めこの経過を詳しく知ったうえで、警察、検察の処置は完全に間違っていると感じていました。
事件4年後の福島地方裁判所の判決は結局無罪を言い渡しました。朝日、読売、産経など各新聞をはじめ、多くの意見は、「医師を逮捕するほどの必要性はなかった。警察の捜査は医療裁量にまで踏み込んでの過失責任を問うたもので、警察と検察を批判し、無罪判決を明確に支持する。」というもので、当事件は「事実上の冤罪事件」である、とはっきり認識されました。
その他の代表的冤罪について:皆さんの記憶に新しい事件としては、厚生労働省の村木厚子さんが逮捕されたことがあります。真面目で温厚で低姿勢、有能な方でしたが、罪は偽の証明書を発行して、不正なダイレクトメールで発送したというものでした。5か月も拘留されましたが、別の男が証拠隠滅で逮捕され、彼女の無実が証明されたのです。今ゴーンさんの拘留が長引いています。確かにお金に関してはちょっと首をひねりたくもなりますが、日産の危機を、やり方はともかく救った人間に対し、もう少し慎重な態度が必要ではなかったかと、考えてしまいます。この件はまだわからないことが多く、意見もまちまちですが、検察の強引さには少しあきれます。
もし自分が冤罪に巻き込まれたときは:絶対に虚偽の自白をしてはならない。また、捜査機関が作成する調書に簡単にサインをしない。速やかに有能な弁護士に依頼する。などが大事な様ですが、もしも巻き込まれてしまった自分を考えると、空恐ろしく感じてしまいます。

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