ふくろう通信

ふくろう通信 呼吸器の感染症

20202月 第245

呼吸器の感染症
~新型コロナウイルス感染症の脅威~

年頭よりいろいろと騒がしい事態が続いています。今度は中国の武漢の海鮮市場からの発症が疑われている、新型コロナウイルス感染症ですね。肺炎患者の増加が止まりません。治療にあたっていた医者も亡くなったようです。中国のみならず、全世界的にも今後問題となる可能性が高いようです。今回はそこで呼吸器の感染症、新型コロナウイルス感染症についてです。

ウイルス:皆さんは1年間に何回風邪をひきますか。平均して大人は2回、子供は6回罹るといわれています。風邪の原因はウイルスがほとんどで、鼻かぜ、咽頭や喉頭の炎症、気管支炎、肺炎(特に幼小児が重要)がみられます。ウイルスの種類によって、症状にそれぞれ特徴がみられます。風邪を引き起こすウイルスの種類は200種を超えるといわれ、これらウイルスが私たちを常にアタックしているわけです。なお現在流行しているインフルエンザウイルスは、風邪を引き起こすウイルス群とは別物と考えたほうがいいでしょう。その理由はこのウイルスは強烈な全身感染症だからで、症状がさらに重くなり、様々な合併症を起こすことがあるからです。今年やや重症な「横紋筋融解症」になり、入院された方がおられました。以前勤務した病院では、心筋梗塞にまでなった方を経験しました。いずれも高齢の方ばかりであり、高齢の方は本当に注意が必要です。

細菌:ウイルスよりかなり大きな病原体が細菌です。よく見られる呼吸器の病原細菌の代表は肺炎球菌インフルエンザ菌です。肺炎球菌にはワクチンがあり、特に高齢者や肺疾患、循環器疾患、免疫疾患のある方は受けられてください。よく間違われますが、インフルエンザ菌はウイルスではなく細菌です。またこの細菌の一部のタイプは幼児の髄膜炎を起こします。これに対してのワクチンがあり、非常に効果的です。細菌はウイルス感染後の2次感染の原因となります。細菌感染では発熱がさらに多く見られ、症状も強くなり、肺炎までなることも稀ではありません。細菌には抗菌剤が有効です。鼻かぜなどのウイルス感染までも、医者は抗菌剤を使いすぎるからといって、厚労省は制限しようとしています。これはなかなか難しい問題です。高齢者では風邪とおもわれても、細菌性の2次感染が起こり、重篤な気管支炎や肺炎になることがまま、あるのです。

新型コロナウイルス感染症コロナウイルスは、私は大学生の時は通常のカゼを引き起こす、それほどは害にならないウイルスとして教えられました。教科書には「コロナウイルス感染は、上気道に限定され、鼻汁過多と不快感で、咳、発熱も著明でない」と書かれています。そのウイルスが変異したものがSARSであり、MERS、そして今回の新型です。これらは新興感染症と呼ばれます。エイズもそうですね。コロナウイルスの変異がなぜ突然起こるのかは、いろいろ推測されていますが、まだ明確には判明していません。今回の新型コロナウイルスも病原性が強くなっています。コロナウイルスの増幅過程を、専門書で調べてみると、他のウイルスと比べ、かなり独特で、ワクチンや抗ウイルス剤の製造に時間がかかるかもしれません。新型ウイルスは病原性(ヴィルレンス)が少しずつ強まっていると報道されており、この点は注目されます。私は日本感染症学会の会員ですが、その学会からネットで1月29日に以下の通達が来ていますので、一部紹介します。

1.コロナウイルスは飛沫感染で伝播するので、感染対策は手指衛生の徹底は基本中の基本、飛沫を直接浴びないよう、マスク(特にN95マスクが有用)の着用、医療者はガウンを装着する。

2.中国帰国者で肺炎が疑われる場合、直ちに行政機関に報告する。

3.1月28日に新型コロナウイルスは「指定感染症」に指定され、公費負担のもと隔離することができるようになった。

この感染症はまだ不確かな情報や不明な点も多く、以後重要な事がわかりましたらご紹介します。