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ふくろう通信 種子法廃止の波紋、これからの農業の行方

  • 2019年

2019年(令和元年)6月 第237号

種子法廃止の波紋、これからの農業の行方

「種子法」が2018年4月に廃止され、日本の農業は大きな転換点に差しかかっています。種子法は多様な品種・種子を守るための、日本にとって重要な法律でした。「このままでは、日本の農産物の多様な品種が店先から消える」こう警鐘を鳴らすのは、元農林水産大臣で弁護士、長崎県出身の山田正彦氏。私は山田氏の「種子法廃止、これからの日本の農業について」の講演(長崎保険医協会主催)を今年3月に聴きました。その内容は恐るべきもので、私の知らなかったことばかりでした。日本の食糧安全保障を考える上で重大な問題です。内容があまりにも広範、多岐にわたり複雑なことも多く、以下の文は要点だけで多くのことを省略しています。ご了承下さい。

種子法が廃止され、これまで米、大豆、麦類の品種を、各都道府県が責任を持って種子を開発・増殖してきましたが、今後は義務ではなくなります。種子を守るための予算がつかなくなるのです。一つの品種が開発されるまでには10年、増殖には4年かかります。各地域の銘柄米を手ごろな値段で口にできたのは、膨大な歳月と労力をかけ、その予算を税金で賄っていました。それが主要穀物種子の全てが民間会社に任されると、農家はどうなるか?

①今まで安定して廉価で購入していた優良品種の種子を4~8倍の高価格で購入しなければならなくなる。コメでは三井化学の「みつひかり」日本モンサント「とねのめぐみ」などの品種。

②民間の品種はF1、つまり一代限りなので、自家採取できず毎年種子を購入しなければならない。

③農家は民間会社と直接契約して、肥料、農薬などの資材はすべてが購入を義務付けられる。収穫したコメも、決められたところだけで、他に出荷することができない。

④かつて野菜の種子は100%国産だったが、今では90%が海外で生産されたものになった。コメ等の主要穀物は現在すべて自給しているが、それが危うくなり、食糧安全保障の危機につながる。

以上のようなことが実際起こると考えられます。

2017年11月の農林水産事務次官の通知によれば、「民間業者の参入までは都道府県は種子増殖に必要な栽培技術などの知見を維持し、それを民間事業者に対し、提供する役割を担う、云々」これは民間営利企業に対する、協力としかみえず、本当に農水省は日本の農業を心配しているのか、について私は心配してしまいます。  

このほかの問題点として

①日本の多様な品種を守ってきた種子法は、TPPにおいては自由な競争を阻害する『非関税障壁』とみなされて、廃止となった。そのTPPでは『遺伝子組み換え食品の輸入も促進する』となっている。いずれ遺伝子組み換えのコメを作付するようになる可能性が大きい。

②これまで日本が蓄積してきた種子の知見をすべて民間に提供することになると、モンサント、デュポンなどの巨大世界種子産業が特許を獲得し、逆に日本の農家がこれらの会社にロイヤルティを支払う必要性が出てくる。実際すでにメキシコ、フィリッピンの農家はモンサントに払っている。

③日本は農薬の基準も緩やかにし、ラウンドアップ(グリホサート)を使用しても育つ遺伝子組み換えコメの種子開発に成功(日本モンサント社と愛知農業試験場共同研究)、環境汚染、人体に影響がみられる農薬が大量に使用できるような素地ができている。

この他にも多くの問題点を提起されました。外資系大企業を肥え太らせ日本の農業を混乱に導く、種子法廃止、種子法を取り戻す裁判に取り組む、山田氏らへの支援が必要です。

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