ふくろう通信

ふくろう通信 ヒートショック現象 ~お風呂場で死なないために~

20185 224

 

私の実家や、妻の実家の家はかなり古く、断熱性に乏しく、冬場居間で暖かくくつろいでいても、ちょっと別の部屋に入ると極めて温度が低く感じられ、気分が悪くなることがあります。またあまり断熱性が良くない、脱衣場やお風呂場が寒くなると、これが血圧をかなり上昇させ、その後体温より高い熱い風呂に入ると、今度は体に大きな負担となり、急激に血圧が低下し、その過程で意識がもうろうとなったり、失神することが考えられます。みなさん方もそのような経験をした方がおありになろうかと思います。今回は少し季節外れの話題ではありますが、このことについて述べてみます。

 

 

ヒートショック現象とは急激な温度の変化によって血圧が乱高下したり脈拍が変動することで、建築業界の方たちが、リフォームを勧めるために数年前から、使われ始めた言葉のようです。日本の入浴中の急死者数は諸外国に比べて高いとされ、その理由は浴室と脱衣室の温度差であるとされ、日本で年間累計1万人以上がヒートショックが原因で死亡しているとされています。この数字は、室内における高齢者の死因の4分の1を占める、ともされています。この現象のため、一番問題とされることは、入浴中に突然急死をすることです。私の大学時代、私が所属していた熱帯医学研究所のある教授が、突然風呂で急死されたことを記憶しております。大変立派な方でしたので少なからず、ショックを受けました。その方の息子さんは前長崎大学長になられた方です。どんな方でも条件がそろえば風呂場での溺死が起こるわけですが、死亡原因ははっきりとつかめていないのが現状です。

ある学者が入浴実験をしたところ、入浴時高齢者の場合、5~6分の間に血圧が30~40も低下しており、これは起立性低血圧や、食後性低血圧に伴って、めまいがしたり、失神したりするのとほぼ同じ状況が起きているのではないか、と考えられてます。死亡者の解剖では肺の中に水が多く含まれていることが多く、失神後もうろうとなって、溺れてしまったと考えられます。この他にも脳血管障害や心臓発作も考えられますが、それだけでは説明できず、病理学者たちも意見が割れているということです。

しかし、上記を踏まえたうえで、どう対処したらよいかがポイントになります。

  1. 血圧のコントロール:血圧が正常な方、また高血圧症を十分コントロールされている方では、危険性は減るということですが、高血圧症を放置されている方であると、血圧が低下される程度がさらに激しくなり、その危険性は大となります。自分の血圧の管理が重要になるわけです。
  2. 浴槽の温度はどれくらいが適当であるかというと、41℃を超えない範囲で入るのが理想的です。そんなに寒くない浴槽であれば、40℃がいいようです。ただあまりぬるいお風呂も考え物です。
  3. リフォームをしたり、家を新しく作る際、入浴前後の室温、湯温をあまり変わらなくすることが重要です。脱衣場の温度が低い場合は、暖房器具を使うというやり方も考えられます。

 

一般的に65歳以上の男女はどれだけ健康に自信があったとしても入浴時には注意が必要です。特に高齢者は、熱いお湯が好きな傾向にありますが、脱衣場と浴室の温度差は10度以上あってはならないので、本人だけではなく周りの家族も気をかけることが大切でしょう。