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身近な嫌気性菌による食中毒 ボツリヌス菌とウエルシュ菌

ボツリヌス菌食中毒東京都は生後6カ月の男児が今年3月30日、蜂蜜に含まれていたボツリヌス菌が原因の「乳児ボツリヌス症」で死亡したと発表しました。記録の残る1986年以降、同症による死亡例は国内で初めです。

ボツリヌス症は同菌の繁殖を抑える腸内細菌が十分にない1歳未満の乳児が発症するとされ、原因食品の大半は蜂蜜です。

ボツリヌス毒素について研究している東京農大の丹羽光一教授(病態生理学)によると、菌は土や川など自然界に広く存在。成人でも辛子レンコンなどでの食中毒が報告され、熊本の事件は有名でした。菌は酸素を嫌い「芽胞(がほう)」という形態で生き延び、低酸素状態になると発芽して強い毒を出します。
密閉された食品の中で生き延び、芽胞では100度では死滅せず、家庭の調理では難しいとされます。

ウェルシュ菌食中毒「一晩寝かせたカレー」食中毒注意 

ウェルシュ菌増殖食中毒を引き起こす「ウェルシュ菌」をご存じですか?
この菌には熱に強く、作りおきしたカレーや煮物などを食べて発症するケースが多くみられます。
今年3月8日夕方から翌朝にかけて、東京・世田谷の私立幼稚園の園児67人と教職員9人の計76人が次々と、下痢や腹痛、嘔吐(おうと)の症状を訴えました。
複数の患者の便からウェルシュ菌が検出され、保健所はカレーが原因と断定しました。

ウェルシュ菌は人や動物の腸管内や土壌、下水などに存在。肉や魚、野菜などの食材にも付着し、体内に大量に取り込まれると、食中毒を引き起こす場合があります。
日本食品衛生協会の栗田滋通・技術参与によると、ウェルシュ菌による食中毒が起きやすいのは「カレーやシチューなどとろみのある料理を大鍋で作った時」だといいます。
ウェルシュ菌の中には「芽胞」という殻のような状態になるものがあり、熱に強い芽胞は、100度で60分間熱しても死滅しません。
そのため、調理の際に煮沸してもウェルシュ菌が残り、その後増殖して食中毒を引き起します。
常温で保存し、温度が55度程度まで下がってくると芽胞から新しい芽が出て菌が増殖を始めます。
特に43~45度で急速に増え、料理にとろみがついていたり、量が多かったりすると、温度はゆっくり下がるため、菌が増殖する時間も長くなります。

これから食中毒の季節となります。食品の調理、保存には注意しましょう。