ふくろう通信

ふくろう通信 肺炎、風邪、インフルエンザ

20172 209

肺炎、風邪、インフルエンザ

 

私は産業医もしております。そのため時々その講習会で勉強して、産業医として知っておくべき、新知見をできるだけ得るように、日々努力しております。最近長崎県医師会主催の産業医講習会が、土日の二日間にわたってありました。その中の一つに『医療・介護職場における感染リスク対策』があり興味深く聴きました。その前には私が産業医をしている会社で『風邪とその予防対策』を講演しました。そこで今回は季節がら、皆さんも気になる呼吸器の感染症の話をしましょう。

 

肺炎の変遷:30数年前、私が医者になったころ、教室の主任教授から、「今でこそ肺炎は治る病気になったが、昔々、肺炎は恐ろしい病気で、有効な抗菌剤もなく、栄養状態も現在ほどよくなかったから、若い人でも死ぬことも多かった。往診して、今晩がやまですね、と家族に伝えることもままあった。今は抗生剤で随分と助かっているね。」ということを聞かされていました。しかし肺炎は現在、再び注目される疾患になりました。高齢者が急増したからです。高齢の方は免疫力が弱まり、感染に罹りやすく、また薬の効かない細菌(耐性菌)も増えてきました。肺炎は日本人の死因の第3位となり、介護の必要な老人では死因の第1位です。また高齢になるほど、肺炎の症状が一見軽くなり、見逃しがちになります。さてその特徴はどうなのでしょうか。

 

高齢者の肺炎の特徴:高熱を伴うのが普通の肺炎ですが、高齢者では熱が出ないこともあるので、気づかないうちに病気が進行してしまい、重症化していることも珍しくありません。咳の反射能力も落ちていますから、咳込むことも少なくなります。肺炎では悪寒、筋肉痛、関節痛、頭痛などのはっきりした症状がありますが、これらの症状は出ずに、元気がない、食欲がない、意識が朦朧としている、呼吸や脈拍が速い、といった症状が前面に出ている場合、肺炎かも知れず注意が必要です。

 

肺炎の予防:皆さんもご存じのように、肺炎球菌ワクチンが開発され、公的助成の制度が確立されていますので、65歳以上の方はご利用になればと思います。ただ肺炎球菌だけが肺炎を起こすわけではないのですが、30%は本菌によるもので、一番重要な菌種であります。

 

風邪を引き起こすウイルスは200種類以上あるとされ、年間に一人の人間が風邪のウイルスに罹る回数は4~6回とする報告もあります。ある風邪ウイルス専門だった教授は、私は全くカゼにかからない、と言っていましたが本当でしょうか。私は開業以来18年間、インフルエンザに罹ったことはありませんが、普通の風邪なら、時々患者さんから上等な風邪ウイルスのプレゼントがあり、年間1、2回はひいてしまうこともありました。そこで肺炎を引き起こす可能性のある風邪やインフルエンザの予防が重要ですね。その感染予防対策を列挙しますと

免疫力をアップさせる ②バランスのいい食事と睡眠をとる ③適度に運動する ④手洗い、うがいを十分行う ⑤適度に加湿する ⑥マスクをつける ⑦タバコを吸わない

 

これらの点に関してはメディカルニュースNo.50の感染予防について記事(講演会などに基づく)もありますので、合わせてお読み下さい。高齢者の肺炎を強調しましたが、最近感じるのは比較的若い方も肺炎が見られます。マイコプラマ肺炎は、咳が強く長引くタイプは若者が多いのですが、それ以外の普通の細菌性の肺炎も若者にみられています。若者も疲れているようです。どうぞ皆様ご自愛くださいね。