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メディカルニュース 劇症型溶連菌感染症

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メディカルニュース

2016年2月

 

 

劇症型溶連菌(溶血性連鎖球菌)感染症について

劇症型溶連菌感染症は突然発病し、急速に多くの臓器が破壊され、敗血症性ショック状態になります。

マスコミで「人食いバクテリア」といった病名で、センセーショナルな取り上げ方をされます。私は全く同じような症状を、ビブリオ・ブルニフィカスという細菌で経験し、その患者さんは発病2日で亡くなられました。

はじめに

日本では1992年に報告されて以来毎年100-300人の患者が確認されています。

まれでありますが、約30%以上が死亡しており、極めて危険な感染症です。
普通の溶連菌感染の場合は、主に子供の咽頭炎や急性化膿性扁桃炎などで、ごく普通に見られるものです。
劇症型溶血性レンサ球菌感染症では、子供から大人まで広範囲の年齢層に発症し、特に30歳以上の大人に多いのがひとつの特徴です。

症状について

劇症型溶血性レンサ球菌感染症の患者は、免疫不全などの重い病気を持っていないにもかかわらず、突然発病する場合があります。

初めの症状としては四肢の痛み、腫れ、 発熱、血圧低下などで、発病から病状の進行が非常に急激かつ劇的で、発病後数十時間以内には軟部組織が腐れ、急性腎不全、呼吸困難、悪性の出血傾向と血栓による循環不全、多くの臓器障害を引き起こし、ショック状態から死に至ることも多くあります。
本症の最も一般的な初期症状は筋肉の痛みであり、急激に始まり続いて、押すと強い痛みが全身に見られるようになります。痛みの始まる前に、発熱、悪寒、筋肉痛、下痢のようなインフルエンザの様な症状が20%の患者にみられます。

全身症状としては、発熱が最も一般的で、錯乱状態が患者の55%でみられます。
局所的な腫れ、痛み、発疹のような徴候は、皮膚の進入口が存在する場合によくみられます。
発熱や中毒症状を示す患者で紫色の水疱がみられ、壊死性筋膜炎や筋炎のような深い所の組織感染を起こします。
悪化防止のため、速やかに病巣を切断することが必要になる場合があります。

診断は

血液や感染部位から本菌が検出されます。本症では菌血症(敗血症)を示すので、血液のグラム染色で直接観察されます。本菌はグラム陽性の球菌で連鎖状の配列を形成します(下写真参照)。溶連菌

 

治療方法

抗菌薬としてはペニシリン系薬が第一選択薬です。

しかし進行が速いため、効果的でないことがあります。組織内の菌密度が上昇すると菌の発育が抑制され、βラクタム系薬の効果が低下する現象が知られ ており、本症のように極端な敗血症病態では、細胞内移行性の高いクリンダマイシンを推奨する意見もあります。

さらに、免疫グロブリン製剤の効果も報告されています。
血圧維持には大量の輸液が必要ですが、過剰にならないよう、よく病状を観察する必要があります。
また腐れた組織は速やかに切除する必要がある大変な病気です。

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