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2014年1月

 

慢性硬膜下血腫について

概説

成人の慢性硬膜下出血は、適正な脳外科的治療により、元の状態に戻る数少ない疾患で、脳外科医にとっては今どき珍しい患者さんに感謝されることの多い、職業冥利に尽きる病気の代表的なものです。

私の88歳になる父も最近この疾患のため手術、完全に回復しました。
脳実質を包む膜には、3種類ありますが、頭蓋骨に近いほうから、硬膜、くも膜、軟膜です。この硬膜の内側に血液が貯留し増大していく疾患が慢性硬膜下出血です。
数週間から2~3カ月さかのぼる、患者本人も憶えていないほどの頭部打撲などでも発症、抗凝固、抗血小板剤が誘因となっている症例もあります。
私の父も発症3か月前に頭部打撲し、心房細動のため抗凝固剤が投与されていました。

 

症状/診断%e8%84%b3%e8%a1%80%e7%ae%a1%e9%9a%9c%e5%ae%b3%ef%bc%91

診断を比較的困難にしている要因は、受傷から発症まで、タイムラグがあることと、そして神経症状に乏しく、性格変化や認知症、うつ病などの精神症状が前景に立つ場合が多いことだと考えます。

家族の多くは「呆けてきたのでは?」と主治医に尋ねます。
頭部CT撮影で確定診断に至ります。

若年者では主に頭痛を中心とした頭蓋内圧亢進症状,加えて片麻痺,失語症などの局所神経症状がみられ、高齢者では,記憶力低下,尿失禁など認知症様の精神症状,片麻痺,歩行障害などが主な症状です。

 

治療方針

A.経過観察:

近年,脳ドックなどで偶然に発見される場合があります。
症状がなく血腫が少量で脳への圧迫を認めない場合は,自然治癒があるため1-3週間隔でCTにて経過観察します。

B.手術療法:

手術は穿頭による閉鎖式血腫ドレナージ、あるいは穿頭して血腫除去・血腫腔内洗浄術を行います。
通常は局所麻酔、頭皮を3-4cm切開し穿頭して硬膜および血腫被膜に切開を加え,カテーテルチューブを挿入して血腫を吸引除去、血腫除去後,生理食塩液にて血腫腔を洗浄し腔内の残存空気を排除し閉鎖式ドレーンを留置します。
排液が少なくなる術後1-2日後に抜去します。

 

予後

再発は約10%にみられ術後1か月以内が多く、高齢者や血液凝固異常で再発を生じやすい。
症状が再発する場合や血腫が増大する場合には再手術を行います。

 

患者さんへの説明のポイント

・高齢者では、頭部外傷受傷時のCTで異常がない例でも、その後に本疾患発生の可能性がある。

・本疾患の症状は血腫を除去しなければ改善せず、放置した場合脳ヘルニアをきたす場合がある。

・穿頭術による血腫除去が一般的、血腫を洗浄除去するものでドレーンを術後1日くらい留置する。

・術後早期に症状の改善が期待されるが、高齢者では回復が遅い傾向がある。

・血腫の再貯留は10%で脳萎縮の強い例では生じやすく、症状の出現時には再手術を行う。

等です。