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メディカルニュース 肥満症の診断基準

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2012年1月

 

医療ニュースNo1 11年ぶりに肥満症の診断基準が改訂(オムロン健康ニュースより)

 

日本では成人における肥満の割合は約30%。

最近30年間の推移を見ると、成人男性の肥満が増え続けています。
日本肥満学会によって「肥満症の診断基準」の見直しが行われ、2011年9月、11年ぶりに新しい診断基準が示されました。
その結果、日本における肥満の定義である「BMI25以上」と、内臓脂肪蓄積の指標となる「ウエスト周囲長 男性85㎝以上、女性90㎝以上」の基準は変わらないものの、いくつかの項目が改訂されました。

その内容をご紹介します。

  1. BMI35以上を「高度肥満」と定義

肥満の目安となるBMI(体格指数)は、体重(kg)÷身長(m)÷身長(m)で求められます。

性別にかかわらず、BMI18.5以上25未満が「普通体重」、25以上が「肥満」と判定されます。
日本人の成人でBMI35以上の高度な肥満は、0.2~0.3%といわれています。

欧米と比べると少ないですが、男子大学生を対象とした調査では0.3~0.66%がBMI35以上という報告があり、体重が100kgを超えている人も珍しくなくなってきました。
今後、このような肥満度の高い人が増えてくる可能性があるため、新しい診断基準ではBMI35以上が「高度肥満」と定義され、診断や治療の対象と位置づけられました。

 

 

  1. 肥満症の診断基準に必須となる合併症に「肥満関連腎臓病」を追加

肥満症の診断に必須となる合併症は、これまで10種類でしたが、新たに「肥満関連腎臓病」が追加され、11種類になりました。これは、肥満によってたんぱく尿が出て、腎障害が起きる人がいることがわかってきたからです。

肥満関連腎臓病には内臓脂肪が深く関わり、減量による治療が非常に重要と考えられています。

 

 

  1. 肥満に関連する悪性疾患に「4つのがん」を記載

肥満性脂肪肝のひとつで、お酒を飲まない人に発症する非アルコール性脂肪性肝炎は内臓脂肪と関連が深く、この病態から肝硬変や肝がんに進展することがわかっています。
さらに、最近の研究において胆道がん、大腸がん、乳がん、子宮内膜がんは、肥満の人に発症や再発が多いと報告されています。

これを受けて、肥満に関連する悪性疾患として胆道がん、大腸がん、乳がん、子宮内膜がんを記載し、肥満はがんの発症にも関与との知見が加えられました。

 

 

  1. 内臓脂肪、皮下脂肪ごとの区分けを見直し

これまで内臓脂肪と皮下脂肪で疾患が区別されていました。

しかし、脂肪ごとに疾患をはっきり区別できないことから、新しい診断基準では廃止され、ひとつにまとめられました。
検証された疾患で肥満による月経異常や不妊は、皮下脂肪が多いことが起因とされていたものですが、内臓脂肪の関与もわかっています。
そのため、内臓脂肪、皮下脂肪と区別しないで両方の質や量の異常を診ることが診療において重要ということになりました。

 

 

  1. その他のトピックス:肥満症専門医と生活習慣病改善指導士の認定制度を創設

肥満を改善することが高血圧や糖尿病などの合併症の治療に有効であることなどがわかってきました。

そのため、今後は肥満症について新しい知識をもった医師と、共に協力しながら指導にあたる専門家を増やすことで、治療への取り組みがより積極的に進められていくことになります。
肥満は、脂肪組織が過剰に蓄積した状態です。

健康に問題がなければ治療の必要はありませんが、BMI25以上で、肥満によって合併症が発症したり、健康に問題が生じたりしている場合は「肥満症」と診断され、減量が必要になります。
蓄積した脂肪が病気を引き起こし、肥満症につながることは、意外に知られていないのではないでしょうか。
過剰な脂肪の蓄積は、さまざまな病気に近づいている状態ともいえます。

これからはBMIの数値と一緒に起こりうる合併症なども意識して、肥満を予防していく時代です。