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ふくろう通信 高血圧には気をつけて

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201110 

高血圧には気をつけて

 

これから少しずつ気温が下がり、さらに寒くなると高血圧の合併症が増えてきます。心筋梗塞や脳卒中等です。

日本人では40~74歳の人のうち男性は約6割、女性は約4割が高血圧(140/90mmHg以上)の状態です。
その中の全ての方が治療されているわけではなく、降圧薬を飲んでいる人は、有病者のうち約2割(2006年)に過ぎません。高血圧は病気ではなく状態で無理して治療することはない、と言い切る人もいます。果たしてそうでしょうか?

 

私が今まで当院で、また医者になってから見続けてきた患者さんの経験をもとに、この疾患について私の考えるところを述べてみたいと思います。

結論から先に言いますと、血圧の高い人、特にリスクの高い方には、降圧剤の服用が絶対です。
理由は高血圧を放置したり管理が悪いと、様々な重い病気を併発し最悪の場合、死に直面することがあるからです。
そしてそのことは私が実際今までに経験していることなので、なおさら強く主張したいのです。

以下は当院の症例です。

 

 

症例1.
54歳の女性、仕事熱心で朝から晩までご自分のお店で働き尽くめ、ほっとする時間もなかったのでしょう、頭が重く来院し高血圧と判明、それも160/100と高く、降圧薬の投与を開始しました。この方にはARBという最近よく用いられるようになった高血圧薬を使用しました。きちんと来院はされていましたが、時々本来はもうすでに来られるころなのに遅くなることもあり、飲み忘れる時もあるのかなと思っていました。
ある朝、その方の高齢の母親からお電話があり、意識がなくて、いびきをかいて寝ているとのこと。嫌な予感がしました。駆けつけてみると血圧は260/130と非常に上昇、すぐに救急車で市内の脳外科のある病院に搬送しました。脳出血でした。CTでは大脳半球に広範な出血がみられ、そのため意識障害があり、さらに呼吸障害も現れ、1週間後残念なことに亡くなられました。

 

 

症例2.
数年前のことです。60歳の男性の方が風邪の症状で来られました。
念のため血圧を測ってみると、166/116と高く、こちらのほうが長い目で見ると大事ですね、といって1週間経過をみて降圧剤を出しました。カルシウム拮抗剤というよく使われる薬剤です。
少しずつ下がりましたが、十分でなく、そのうち来られなくなってしまい、別の診療所か病院に変わられたのかと思いました
。それから4年後、胸部と背部痛を訴え突然来院、このときは冷や汗と嘔吐あり、血圧はむしろ低下、尋常ならざる感じで、心電図では心筋梗塞ではなく、別の重要な疾患の発症を考え大学病院に救急車で移送、大動脈解離という10万人当り4~5人(年間)発症の重大な疾患ということがわかりました。
程度も重いことから、緊急手術となりました。このほか高血圧が無治療で、心筋梗塞になった方も数人経験しました。

 

以上の経験から、教訓を次に示したいと思います。

  • 血圧の薬は定期的に服用し、飲み忘れのないようにする。何日か忘れると、血圧がずいぶん上がることがあります。症例
  • 血圧は薬を服用してから下がってきたからよい、と思って勝手に中止しない。止める時は医師と相談しながらでないと大変危険です。症例
  • 高血圧は状態であり、それだけではよほど高くない限り症状はあまり出ませんが、高血圧の状態を持続することによってひき起こされる、各種合併症に注意しなければいけません。症例1,2
  • ストレスがたまりやすいと血圧が高くなります。症例1はその典型例です。ストレスがなくなると、急速に血圧が改善された例も時々経験します。
  • 家族に高血圧の人がいる、塩辛いものが好き、お酒を沢山飲む、たばこを吸う、油っぽい食べものが好き、運動をしない、血糖値、コレステロール値が高いといわれたことがある、などの高血圧の危険因子のある方々は要注意です。

治療に関しては今回、割愛します。
現在、副作用が少なく有用な降圧剤が数多く開発されています。ご自分が高血圧症と診断されたことがあり、上記の危険因子のある方は早めの診察を、そして診断の結果必要ならば高血圧薬の内服をお願いします。

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