ふくろう通信

ふくろう通信 放射線障害と原発事故

20116 

放射線障害と原発事故

 

今回のテーマは現在わが国でもっとも深刻な問題となっている、原発事故についてです。

まず放射線障害とはなにか、それに関する基礎的なことを述べ、そして原発事故に関しては、被爆地長崎に住む人間として、また医療従事者の一人として、一言述べます。

放射線は、生体細胞内のDNAを損傷させます。修復が不可能である場合にはDNAが損傷したまま分裂するか、もしくは細胞死を起こします。これらの影響が蓄積・拡大して身体機能を低下させるようになったものが放射線障害で、障害には以下の急性のものと慢性のものとがあります。

急性(即時性)放射線障害:
主に細胞死によって生体器官の機能が損なわれて生じる影響です。
ごく少量の被曝では影響が現れず、一定の線量を超えて被曝すると影響が発現します。確定的影響とも呼ばれます。1Gy(グレイ)以上被曝すると、一部の人に悪心、嘔吐、全身倦怠などの二日酔いに似た放射線酔いという症状が現れます。1.5Gy以上の被曝では、最も感受性の高い造血細胞が影響を受け、白血球と血小板の供給が途絶えます。これにより出血が増加すると共に免疫力が低下し、重症の場合は30-60日程度で死亡する。5Gy以上被曝すると、小腸内の幹細胞が死滅し、吸収細胞の供給が途絶します。このため吸収力低下による下痢や、細菌感染が発生し、重症の場合は20日以内に死亡します。15Gy以上の非常に高い線量の被曝では、中枢神経に影響が現れ、意識障害、ショック症状を伴うようになります。中枢神経への影響の発現は早く、ほとんどの被曝者が5日以内に死亡します。

 

慢性(遅延性)放射線障害:
主にDNA損傷が固定化したことで発生する影響です。被曝者本人に発現するがん、白血病のほかに、遺伝子の異常によって子孫に遺伝障害が現れることもあります。ただ日本の原爆被害者の子孫では放射線照射による奇形は報告されていません。被曝した線量が多くなるほど発生する確率が高くなります。被曝線量が障害の発生確率に関係するため、確率的影響とも呼ばれます。

 

原子力発電所事故:
放射線障害の最も大きな原因は、戦時では核兵器の使用でしょう。米国の無慈悲な広島、長崎への原爆投下で十分証明されました。本格的核兵器戦争となれば、人類をはじめとする、地球上生物は死滅します。また劣化ウラン弾の後遺症でイラクの人々は今も奇形、発ガンで苦しんでいます。ベトナム戦争時の枯葉作戦(ダイオキシン撒布)と同様アメリカの罪は大変重い。

平時での原発事故ではどうでしょうか。山下俊一長崎大学教授の放射能の安全性に関しての発言が様々な憶測を呼び、ネット上などで痛罵されています。真面目な立派な先生であることを知っている私たちだけに、十分な真意が伝わらないまま、心汚い人たちからの罵詈雑言を浴びせられるのを見ると、本当に心が痛みます。専門家でさえも意見が大きく割れているのに、放射線の影響、原子力に関するずぶの素人の私たちが、十分な科学的知識もないまま、詳細な安全性に関して知ったかぶりにあれこれは言えません。

ただ私見ですが、今後原発は中止の方向にすべきでしょう。
理由を述べます。

1)日本の原子力政策はアメリカの指示(技術下)のもとにすすめられ、結局は安全性より商業的利益を優先させていること。

2)日本は地震が世界でも最も多い地域なのに、臨海部に建設され、活断層上にある所も多く、危険極まりないこと、そしてこれは今回はからずも実証されました。

3)放射線障害の人体に対する影響は計り知れず、また放射能で激しく汚染された土地は長期にわたり住めなくなります。

原発事故がさらに起これば、狭い日本で人はいったいどこで暮らせばいいのでしょうか。政府の政策、マスコミの誘導で日本人は原発がなければ電気がなくなるというマインドコントロールにのせられました。電力会社もさることながら、おおもとの政府の政策、そしてそれを陰で操ってきたアメリカの施策(基本的には黒い金融資本家によるものでしょう)は強く非難されるべきだと思います。ドイツは住民の民度、意識が高く、自然エネルギーを最も多く使う先進国です。もともとクリーンエネルギーの開発国であった日本は見習うべきところも多いようです。